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タウリンの栄養学的機能 [魚油]


 最近、タウリンの研究が進み、タウリンの多様な栄養学的機能が明らかになってきている。なかでもコレステロール値の低下作用についての報告が1979年でもっとも早く、研究成果も多い。
 その研究内容は、高コレステロール血症のラットにタウリンを摂取させたとき、血清コレステロール濃度と肝臓タウリン濃度がどう変わるか、調べている。

 実験では、タウリンの摂取量が1日40mgまでは摂取量に比例して肝臓のタウリン濃度が上昇、血清コレステロール濃度は低下するという、きれいな逆相関が得られた。しかし、タウリンをそれ以上与えても血清コレステロール濃度は下がらず、正常値を維持した。
 コレステロールは肝臓で分解されて胆汁酸になる。このときタウリンが関与すると考えられている。血清コレステロール濃度が高いということは、肝臓のタウリンが減っているということを意味する。

 タウリンを与えないラットの血清コレステロール濃度は正常値の2倍以上と高く、逆に肝臓タウリン濃度は8分の1しかない。これは、多くのコレステロールを分解し、排泄しょうとして、肝臓のタウリンが大量に使われたからだ。そこでタウリンを補ってやると、血清コレステロール濃度は下がり、肝臓タウリン濃度は上昇する。しかも、与えるタウリンの量を増やしてもコレステロールは正常値のままで、下がり過ぎることがない。肝臓タウリン濃度が正常値に回復したあたりで、コレステロール値も正常値になり、以後はそれを維持していく。

 このことからタウリンが作用するかどうかは、肝臓タウリン濃度に左右されると推測できる。コレステロールの分解に、タウリンはどう関係しているのか。

 コレステロールが胆汁酸に分解されるとき、コレステロール7α-水酸化酵素(CYP7A1)が主役として働く。ここで、タウリンはこの酵素の活性を高めることが確認された。また、ラットがタウリンを摂取してからどのくらいの時間で効果が表れることもわかった。摂取後4時間でCYP7A1の活性が高まり、8時間後には血清コレステロール濃度が低下していた。タウリンはコレステロール値を下げるという点では即効性があるとみられる。



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アンセリンの抗疲労効果 [魚油]



 抗疲労効果があるといわれ魚のカツオやマグロの筋肉に含まれるアンセリンは、人間の筋肉には含まれていないが、カツオやマグロを食べることでこれを補給することができる。
 とすると、人間もアンセリン摂取で疲労を予防したり、回復させたりする効果を期待できるのであろうか。

 この点について、カツオからアンセリンを抽出することに成功した研究機関が、次のような実験を試みた。
 大学生10人を3班に分け、1班にはアンセリン抽出物を400mg、2班には同様のものを2000mg、3班にはプラセボ(偽薬)を投与。そして、1時間後に30秒間、自転車こぎをしてもらい、運動後の血中クレアセチンホスホキナーゼ値(CPK)を調べた。CPKは激しい運動によって筋肉細胞が壊れると血中に増えてくる物質で、筋肉疲労の指標になる。

 結果はアンセリンを投与した班が、プラセボを投与した班より明らかにCPK値が低く、しかもアンセリン量が多いほど低値だった。つまり、事前にアンセリンを飲むことで、激しい運動から生じる筋肉疲労を軽減することができたわけだ。

 また、日頃から疲労感が気になるという成人男女32人にアンケート調査をした別の実験もある。
 アンセリンを8週間、飲み続けた班では、疲労感や目の疲れの改善、持久力のアップが認められたという。運動している人をはじめ、日常的に疲れやすいという人にも、アンセリンの抗疲労効果は期待できる。疲労をためないためにも、カツオやマグロなどの魚を積極的に食べるべきである。

 では、アンセリンの抗疲労効果を期待するには、どれぐらいの量を食べればいいのか。
 先の実験の結果からも400mg以上のアンセリンを摂取するのが望ましい。カツオやマグロの赤身には約1%のアンセリンが含まれているから、刺身やカツオのたたき50gで500mgのアンセリンが摂取することができる。これは赤身5切れ程度に相当するから、1回の食事でアンセリンを無理なくとれる量である。



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DHAと情動面の関係 [魚油]


 ドコサヘキサエン酸(DHA)は人間の脳にとって重要な成分だが、その作用は知能面より、むしろ情動面との関係が深いといわれている。

 例えば、産後6週間~8週間の母親のマタニティーブルー、衝動性や攻撃性、鬱、自殺といった「心の問題」とのかかわりだ。

 この「心の問題」の研究では、
医学生をDHAの摂取グループと非摂取グループの分け、攻撃性や敵意性を調べる実験を行った。その結果、DHAの摂取グループと非摂取グループの間で知能の差はなかったが、攻撃性や敵意性では大きな違いがみられたという。

 実験をした時期は、ちょうど医学生たちの進級や卒業試験の直前で、そのストレスが影響してか、DHAの非摂取グループでは心理テストの結果、攻撃性や敵意性の上昇がみられた。が、反対にDHA摂取グループではまったく変化がみられなかった。ストレスが強くかかる状況下でも、攻撃性が抑えられ、平常時と同じ心の落ち着きを維持できていたわけだ。

 この実験結果をもとに、小学生を対象にした実験も試みた。
小学4年生から小学6年生の179人を2グループに分け、1グループにはDHA入りのパンやソーセージ、スパゲティ、DHA摂取量は週に3,6グラムを与え、他グループにはDHAを含まない同様の食品を食べてもらった。

 誰がどちらを食べているかは、本人も家族もわからない二重盲検法という実験方法だ。

 そして、3ヶ月後、衝動性の程度を調べる心理テストを実施。「人が話しているのを途中で遮らないか」、「ゲームなどをするとき、自分の順番がくるまでじっと待てるか」などの質問に対して、小学生の両親に答えてもらった。

  その結果、DHA摂取グループでは、摂取前に比べ衝動性が明らかに低下していたという。「最近は、ささいなことですぐキレる子が増えているが、このキレるもとになっているのが、衝動性である。そんな子たちに、魚を積極的に食べてDHAを摂取すれば、キレる心を抑えられる可能性もある」。

 また、鬱と魚の摂取量にも関係があると推考されている。鬱病やマタニティーブルーの発症率は、魚の消費量が少ない国ほど高かったと報告されている。実際、鬱病の治療で、魚油に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)という脂肪酸が有効だったという治療結果もある。
 
 さらに、自殺をする人は魚嫌いが多いという報告もフィンランドでの調査では、週2回以上、魚を食べる人は、そうでない人に比べて、抑鬱の傾向が32%、自殺願望は43%低かった。

 日本でも、国立がんセンターの教授が約26万人を17年間、追跡した疫学調査で、魚を毎日食べる人は食べない人より自殺者が少なかったと報告している。



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