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魚に含まれるタウリンの役目 [幼児]



 魚に含まれるタウリンはアミノ酸の一種で、人では母乳、なかでも初乳に多く含まれている。これは、人体に不可欠な栄養素であるにもかかわらず、乳児のタウリン合成能力が弱いからといわれている。人の場合、タンパク質を食べると、それに含まれる含硫アミノ酸(硫黄を含むアミノ酸)の代謝の最終産物としてタウリンができるので、欠乏状態に陥るおそれはない。

 しかし、ネコはタウリンを合成する酵素の活性が非常に低いので、口から補給しなければならない。ネコがタウリンを多く含んでいる魚を好むのは体が要求しているからだろう。アミノ酸といえば、体内で合成できない必須アミノ酸が重視される。タウリンは非必須アミノ酸で、欠乏することはない。人体内にタウリンが不十分でも健康上の目立った変化はすぐには起きない。それゆえ重要性が認識されにくいが、タウリンはあらゆる臓器に存在し、生体活動の根幹に深くかかわっている重要な栄養素である。

 健康で生き生きと活動するには、各臓器がうまく機能しなければならない。そのためにはもとになる細胞がしっかりしている必要がある。タウリンは、この細胞の活動をサポートしている。細胞にはタウリンを取り込む機構があり、細胞内のアミノ酸量ではタウリンがもっとも多い。

 タウリンは細胞内の浸透圧を調節したり、活性酸素から生じる有機物質を中和したりして、細胞膜を安定させるという重要な役割を果たしている。人の体は約60兆個の細胞で出来てる。タウリンは、細胞のひとつひとつがうまく働くための調整役といえるだろう。黙々と地味な仕事をする「縁の下の力持ち」ともいえる。

 こうしたタウリンの健康効果は、以前から経験的には知られていた。太平洋戦争中、日本では夜間飛行をする飛行士にタコの煮汁を飲ませ、暗いところでの視力を向上させた。疲労困憊した兵士にも、体力回復のためにタコの煮汁が与えられた。このタコの煮汁に入っている有効成分がタウリンだ。現在は、「滋養強壮ドリンク」の成分としてタウリンを知っている人も多い。



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子供たちにドコサヘキサエン酸(DHA) [幼児]



 魚の油ドコサヘキサエン酸(DHA)は人の脳にどのように働くのだろうか。魚に含まれるDHAとEPA(エイコサペンタエン酸)は、構造がよく似ている。そのため同じような働きをすると思われがちだが、脳の栄養になるのはDHAのほうだという。

 そのカギは脳血管の入り口である血液脳関門にある。
この血液脳関門を通って脳に入れるのは、じつはDHAだけだ。 

 脳の神経細胞にDHAが入ると、細胞を覆っている脂質の二重膜が軟らかくなる。神経細胞はつながっていないため、アセチルコリンやドーパミン、セロトニンなどの神経伝達物質が放出され、神経細胞の先端であるシナプスがこれを受け止め、次々に情報が伝わっていく。

 つまり、DHAによって脳の細胞膜が柔軟になり、情報の伝達がスムーズになるのである。DHAには神経細胞の成長を促進する働きもあると考えられる。

 「窮鼠、猫を噛む」というように、鼠にストレスがかかると攻撃性が強くなるが、DHAを与えると、その攻撃性が抑えられたという実験例もある。

 鬱や自殺志向、すぐにキレるといった状態のときは、脳の中の伝達性になんらかの問題がある。DHAは薬ではないが、脳の伝達機能を改善する働きがある。

 DHAは母乳中に含まれ、赤ちゃんの脳の発育には欠かせない。しかし、DHAは牛の乳には含まれていない。このため日本の育児用の粉ミルクにDHAが強化されるようになった。DHA入りのパンを給食に出している学校もある。

 毎日、魚を食べていれば、DHAは500~1000ミリグラムに近い量が摂取できるが、食事の欧米化にともなって家庭で魚を食べさせることが少なくなったために、脳が発達する大切な時期に、子供たちのDHA摂取量は100グラムを切っている。その意味で学校給食にDHAを取り入れることが大切である。



タグ:給食
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